「〇〇さんはレスが早くて優秀だね」
「△△さんは喋るの早くて頭の回転がはやいね」
もしあなたが、この言葉を褒め言葉だと思って喜んでいるのなら、残念ながらあなたは「絶滅危惧種」である。
数年後には生き残っていない。グッド・バイ。あでぃおす。
厳しいことを言うようであるが、聞いてほしい。
今の社会で「コミュニケーション能力が高い」と言われている人の9割は、思考していない。
ただ、飛んできたボールを条件反射で打ち返しているだけの「高性能な自動応答ボット」である。
この記事を今まさに読んでいる画面の向こうのあなたの人生がかかっているからこそ、真実を話そうと思う。
なぜ、スマホを捨てて「活字」に戻らない人間が、これからの時代で「搾取される側」に回るのか。
その残酷なメカニズムを解説することが今回の記事の目的である。
あなたは「パブロフの犬」になっていないか?
ウィリアム・ジェームズ(心理学者)の視点から言わせてもらえば、あなたのその自慢の「即レス」言い換えれば「速い反応」は、知性ではない。
ただの刺激に対する「反射」である。
- 通知が来る → 即座にスマホを見る
- 質問が来る → 0.1秒で思いついたことを言う
- 沈黙が怖い → 中身のない雑談で埋める
これらはすべて、脳の「思考停止回路」が作動している状態だ。
あなたが会議で素早く意見を言ったり、LINEで瞬時に気の利いた返信をしたりするとき、あなたの脳は何をしているのかというと、実は何も考えてはいないのだ。
過去の経験やパターンから最適な答えを「反射」させているだけ。脳科学的には「脳を使わずに処理している」に過ぎない。
これは飛んできたボールを打ち返すテニスのようなもので、そこに「深い内省」や「創造的思考」が入り込む余地はない。
ハッキリ言おう。
「反射」だけで仕事をしている人間は、あと3年でAIに完全に置き換えられる。
なぜか?
それは、反射スピードと正確性において、人間がAIに勝てる可能性は0%だからである。
現代社会は恐ろしいほど「速度」を評価する。しかし、その速度の正体は「条件反射のスピード」である。
一日中、SNSやチャットの通知に反応し続け、夜になって「今日、自分は何を考えたっけ?」と虚しくなるのは当然といえる。
あなたは一日中、思考したのではなく、刺激に対して「反応」し続けていただけにすぎないのだから。
あなたが「速さ」を誇っている間に、あなたの価値は暴落し続けていると思っていい。
図解:なぜ「コミュ強」はバカになるのか?
では、どうすれば「AI以下のボット」にならずに済むのか。
答えは、フェルディナン・ド・ソシュール(言語学者)が解き明かしている。
考えてみるべきは、言葉の性質である。以下の表のように、違いは「時間」にある。
| 即レス・会話(フロー:パロール) | 活字・文章(ストック:ラング) | |
| 状態 | 川のように流れ去る | 氷のように固定される |
| 脳の動き | 瞬間的な「反射」 | 構造的な「建築」 |
| 結果 | その場しのぎの共感 | 唯一無二の洞察 |
| AI耐性 | × 完全に代替可能 | ◎ 代替困難 |
おわかりいただけただろうか?
会話やチャットのような話し言葉は「流れて消える」ものだ。
言葉を発した瞬間、それは過去へと消え去る。われわれは消えていく言葉を追いかけるのに必死で、立ち止まって考えることができない。思考が「浅く」ならざるを得ない。
だから論理が破綻していても勢いで誤魔化せてしまうところがある。
一方で本やブログなどの「まとまった活字」は消えない。文字は、紙(あるいは画面)という空間に固定されていて、目に見える。前の行に戻ることも、全体を俯瞰することもできる。つまり、時間を止めて対象化することができるのだ。
一度立ち止まり、言葉を固定し、矛盾がないか検証し、論理を積み上げる。
この「遅くて重いプロセス」を経なければ、人間独自の「深い思考」は絶対に生まれない。断言する。
SNSのタイムラインを眺め、薄っぺらい動画を倍速で見ているあなたの脳は、「川に流される木の葉」と同じである。
これからの時代、AIが台頭する中で「処理速度」や「知識の検索速度」で人間が勝つことは不可能だ。
「頭の回転が速い(=反応が速い)」だけの人は、残念ながらAIの下位互換に成り下がる。
自分の意思でどこにも行けず、ただアルゴリズムという激流に流されて、人生を終えることになるであろう。
支配する側は、常に「遅い」
しかし、AIにも苦手なことがある。
それは、泥臭く悩み、矛盾する事象を統合し、独自の哲学を導き出す「遅い思考(ディープ・シンキング)」だ。
歴史を振り返ってみてほしい。
古代ギリシャ アリストテレスの時代から、大衆を扇動するのは「口のうまいソフィスト(詭弁家)」だったが、歴史を動かし、ルールを作ってきたのは常に「活字を残した哲学者」であった。
これは例えば現代のビジネスでも同じである。
現場で忙しく即レスしているのは「兵隊」に過ぎず、一方でトップに立つ人間、つまりイノベーションを起こす人間は、孤独な時間を作り、大量の活字を読み、自分の哲学を書き記している。
即レスする人 = 他人の時間に支配される(奴隷)
熟考して書く人 = 自分の時間を支配する(王)
あなたは、どちら側で人生を終えたいか?
生き残りたければ、今すぐ「黙れ」
もしあなたが、到来したAI時代に「替えの利かない人間」として生き残りたいのならば、為すべきことは一つである。
今すぐ、安っぽい「瞬発力」を捨てよう。
具体的に、明日からできる仕事における「反逆」の方法を教える。
1.「即レス」をやめる
何ごとにも「確認して、考えてから返信します」と伝えよう。考えて物を言う人、言葉を大切にする人は信頼される。
それで怒るような相手とは、遅かれ早かれ仕事はなくなるにちがいない。
2.「要約」を読むな、原典を読め
「3分でわかる」コンテンツをはじめ、要約された、コスパ・タイパ重視のコンテンツはあなたをバカにするための餌である。
理解するのに骨が折れるような難解な本と格闘し、著者の脳みそをインストールする苦痛こそが、あなたの血肉になる。著者が長い時間をかけて紡いだ論理の迷宮を、自分の足で歩くことでしか「思考の足腰」は鍛えられない。
そういうものなのである。
3.スマホを置いて、紙に書け
通知が鳴り止まないデジタル空間で、思考など不可能である。
アナログなノートに、自らの汚い字で思考を書きなぐってみてほしい。頭の中でグルグル回っている悩みを文字にして固定し、客観視する癖をつける。
そこで初めて、あなたは「ボット」から「人間」に戻ることができるだろう。
最後に:選ばれるのは「深く潜れる人」だけ
多くの人は、ここまで読んでも「でも、即レスしないと不安だし…」と言って、またスマホの通知に反応する生活に戻るに違いない。これもまた、断言できる。
だからこそ、そこに好機がある。
99%の人間が「思考の浅いボット」になり下がっていく中で、あなたがほんの少し「活字」に時間を使い、深く潜るだけで、あなたは圧倒的な希少価値を手にすることができる。
孤独を恐れるな。沈黙を愛せ。
言葉を紡ごう。
世界は、「速いバカ」ではなく、「遅い天才」を待っている。
それではまた。

